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就労継続支援A型事業所設立・運営

-心理と法務の専門家が支える、本当の意味での「働く喜び」の実現-

 

はじめに

 

一人ひとりの可能性を信じて

就労継続支援A型事業所の設立を検討される皆様は、きっと障害のある方々の「働きたい」という想いに真摯に向き合おうとされていることでしょう。私たちが13年間この分野に携わってきて強く感じるのは、制度や手続きの理解も大切ですが、それ以上に「利用者お一人お一人の心に寄り添う」ことの重要性です。

 

臨床心理士として多くの方々と関わる中で見えてきたのは、障害のある方々が職場で直面される困難の多くは、実は心理的な要因が大きく影響しているということです。「自分には価値がない」「また失敗するのではないか」といった自己否定的な思いから、せっかくの能力を発揮できずにいる方が少なくありません。

 

A型事業所は単なる「働く場所」ではなく、一人ひとりが自分らしさを取り戻し、社会とのつながりを実感できる「心の居場所」でもあるのです。

A型事業所が担う本当の役割

 

A型事業所は障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスとして、雇用契約を結んで就労の機会を提供する事業です。しかし、法的な定義だけでは見えてこない、もっと深い意味があります。

 

多くの利用者の方々にとって、A型事業所は「社会復帰への第一歩」となる場所です。過去に職場でつらい体験をされた方、就職活動で何度も断られて自信を失った方、そんな方々が再び「働く喜び」を感じられるようになるための、大切な架け橋なのです。

 

私たちが関わってきた事業所では、利用開始当初は下を向いていた方が、数か月後には生き生きとした表情で仕事に取り組まれるようになる姿を何度も目にしてきました。それは単に作業スキルが向上したからではありません。「自分の存在価値を実感できた」「仲間との信頼関係を築けた」「小さな成功体験を積み重ねられた」といった心理的な変化があったからこそなのです。

A型事業所が目指すべき3つの変化

 

まず、利用者の方々の「自己効力感」を高めることです。これは「自分にもできる」「やれば成果が出る」という実感のことで、心理学では非常に重要な概念として位置づけられています。段階的に難易度を上げていく作業設計や、達成感を味わえる目標設定が鍵となります。

 

次に、「社会的つながり」を育むことです。職場は単なる作業の場ではなく、人と人とのつながりを感じられる共同体でもあります。利用者同士、そして職員との温かな関係性の中で、「自分は一人ではない」という安心感を得ることができます。

 

そして最も大切なのは、「未来への希望」を取り戻すことです。「このまま一歩ずつ頑張れば、きっと良いことがある」という前向きな気持ちを持てるような環境づくりが必要です。

B型事業所との主な違い

 

A型事業所とB型事業所の最大の違いは、雇用契約の有無です。A型事業所では利用者と雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の賃金保証が義務付けられています。

 

一方、B型事業所は雇用契約を結ばないため、利用者は工賃として月額3,000円以上を受け取る形となります。対象年齢についても差があり、A型事業所は65歳未満が原則となっているのに対し、B型事業所には年齢制限がありません。

 

定員設定では、A型が10名以上、B型が20名以上と、A型の方が小規模での運営が可能です。これらの違いにより、A型事業所では雇用関係に基づくより本格的な就労体験を提供し、一般就労への移行を強力に支援することができます。

設立に必要な要件

 

法人要件

A型事業所の設立には、必ず法人格が必要です。個人事業主での参入はできません。法人の種類としては、株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人、社会福祉法人のいずれでも可能ですが、雇用契約を結ぶ事業の特性上、労働法規の適用を受けることになります。定款の事業目的には「障害者総合支援法に基づく就労継続支援事業」の記載が必須です。

 

また、雇用関係が発生するため、労働基準法、労働安全衛生法等の労働関係法令も適用されることを理解しておく必要があります。法人選択においては、事業規模や将来の展開計画、資金調達方法なども考慮して慎重に決定することをお勧めします。

心理的安全性を重視した事業所づくり

 

設立要件というと、法人格や人員配置、設備基準といった形式的な要件に目が向きがちです。もちろんこれらも重要ですが、それと同じくらい大切なのが「心理的に安全な環境」をつくることです。

 

法人格の選択

理念を体現できる形を株式会社、社会福祉法人、NPO法人など、様々な法人格がありますが、どの形態を選ぶかは単なる手続き上の問題ではありません。その法人が目指す理念や価値観を表現する重要な選択なのです。例えば、地域に根ざした温かな支援を重視するなら社会福祉法人、革新的で効率的な運営を目指すなら株式会社、市民参加型の運営を大切にするならNPO法人といったように、法人格そのものが事業所の「顔」となります。

 

人員配置

チーム一丸となった支援体制管理者、サービス管理責任者、職業指導員、生活支援員といった配置が法的に定められていますが、大切なのは「チームとしての一体感」です。それぞれの専門性を活かしながら、利用者を中心とした支援の輪をつくることが重要です。特にサービス管理責任者は、利用者の個別支援計画を作成する中核的な役割を担います。

 

ここで心理学的なアセスメント手法を取り入れることで、表面的な行動だけでなく、その背景にある心理的な要因まで理解した支援が可能になります。職業指導員と生活支援員の連携も重要です。作業スキルの向上だけでなく、日常生活の安定や対人関係の改善など、包括的な視点での支援が求められます。

 

設備環境

心の安らぎを感じられる空間訓練・作業室は単に法定面積を満たせば良いというものではありません。利用者の方々が毎日過ごす大切な場所として、居心地の良さや働きやすさを追求する必要があります。自然光が入る明るい空間、適切な温度管理、騒音への配慮、そして何より「この場所にいると安心できる」と感じられる雰囲気づくりが大切です。相談室についても、プライバシーが完全に守られ、心を開いて話ができる環境を整えることが重要です。

設立要件の詳細解説

 

法人要件と戦略的選択

A型事業所の運営には法人格が必須ですが、雇用契約を伴う事業運営の特性を考慮した法人選択が重要です。

 

株式会社

  • 雇用・労務管理のノウハウが蓄積しやすい

  • 一般企業との連携・取引が円滑

  • 資金調達手段が多様

  • 事業展開の柔軟性が高い

 

設立要件:

  • 資本金:300万円以上推奨(法定は1円以上)

  • 取締役:1名以上

  • 定款記載:障害者雇用事業の明記

  • 設立期間:1-2ヶ月

  • 経営上のメリット:利益配分が可能

  • 迅速な意思決定

  • 民間企業としての信頼性

  • 税制上の優遇措置(特定求職者雇用開発助成金等)

 

社会福祉法人

 

特徴:

  • 社会的信頼性は最高

  • 補助金対象になりやすい

  • 税制優遇措置あり

  • 設立要件が厳格(基本財産1億円以上等)

 

A型事業での課題:

  • 雇用型事業運営の制約

  • 利益配分の制限

  • 経営判断の硬直性

  • 営利活動への制約

 

NPO法人

適用場面:

  • 小規模からのスタート

  • 地域密着型運営

  • 市民参加型の事業展開

 

A型事業での制約:

  • 利益配分の禁止

  • 資金調達の制限

  • 雇用管理体制の構築困難

人員配置基準

A型事業所では、適切な労務管理体制の構築が不可欠です。管理者は1名以上の常勤配置が必要で、事業所全体の管理運営と労務管理を担当します。サービス管理責任者も1名以上の常勤配置が義務付けられており、利用者60人につき1人の配置が基準となっています。職業指導員と生活支援員については、それぞれ1名以上の配置が必要で、合計で利用者数に応じた配置比率(10:1または7.5:1)を満たす必要があります。

 

より手厚い7.5:1の配置を行うことで、高い報酬単価を得ることができるため、サービスの質と収益性の両面から配置計画を検討することが重要です。人員配置は単に基準を満たすだけでなく、雇用関係に基づく支援の特殊性を理解した職員を確保することが成功の鍵となります。

人員配置基準の実務運用

 

基本配置要件

  • 管理者:配置数:1名(常勤・専従)

  • 資格要件:特別な資格は不要

  • 主要職務:事業所運営の統括

  • 労務管理・雇用管理

  • 生産活動の企画・調整

  • 関係機関との連携

 

サービス管理責任者

  • 配置数:利用者60名につき1名以上

  • 資格要件:実務経験(3-8年)+研修修了

  • 主要職務:個別支援計画の作成・管理

  • 就労移行支援の企画・実施

  • 利用者の能力評価・向上支援

  • 家族・関係機関との調整

 

職業指導員

  • 配置数:利用者10名につき1名以上

  • 資格要件:特別な資格は不要(但し専門性が重要)

  • 主要職務:作業指導・技能訓練

  • 安全管理・品質管理

  • 生産性向上支援

  • 職業能力評価

 

生活支援員

  • 配置数:利用者10名につき1名以上

  • 資格要件:特別な資格は不要

  • 主要職務:日常生活上の相談・支援

  • 健康管理・服薬管理

  • 対人関係の調整

  • 生活スキル向上支援

設備基準

A型事業所には、生産活動を行うための適切な作業環境と、利用者の安全・快適な労働環境の確保が求められます。作業室は利用者1人当たり3.0㎡以上(自治体により3.3㎡)の作業スペースが必要で、最低定員20名の場合は60㎡以上が必要となります。

 

相談室はプライバシーに配慮した個別相談が可能な空間として設置し、労働基準法に基づく適切な休憩スペースも確保する必要があります。洗面所・トイレは利用者の障がい特性に配慮したバリアフリー設計とし、事務室には労務関係書類等を適切に管理する鍵付き書庫の設置が必要です。

 

消防設備については、自動火災報知設備、誘導灯、消火器等の設置が義務付けられており、作業内容に応じた安全装置や保護具の準備、適切な作業環境維持のための換気システムも整備する必要があります。

設備基準と生産環境の設計

 

法定設備要件

訓練・作業室:

面積基準:

- 利用者1人当たり3.0㎡以上

- 定員20名の場合:60㎡以上

- 作業内容に応じた適切な設備

 

設備要件:

- 採光・換気・温度管理

- 安全設備・防災設備

- 作業に必要な機器・備品

- バリアフリー対応

 

相談室:機能:

- プライバシーが確保できる空間

- 個別面談・相談対応

- 家族面談・関係機関との打合せ

 

設備:

- 面積:8㎡以上推奨

- 防音・遮音対策- 適切な照明・換気

 

その他必要設備:

□ 洗面所・手洗い設備

□ トイレ(男女別・バリアフリー)

□ 休憩室・更衣室

□ 事務室(鍵付き書庫含む)

□ 倉庫・資材置場

□ 食堂(食事提供を行う場合)

利用者の心に寄り添う事業内容の設計

 

事業内容を選ぶ際、収益性や実現可能性と並んで重要なのが「利用者の心理的な特性との適合性」です。障害のある方々の多くは、過去に何らかの失敗体験や挫折体験を持っています。そうした心の傷を癒しながら、新たな自信を育てていける事業内容を選ぶことが大切です。

 

成功体験を積み重ねられる作業設計

心理学では「スモールステップ」という考え方があります。大きな目標をいきなり目指すのではなく、小さな成功を積み重ねることで自信と能力を段階的に高めていく手法です。

 

例えば、製造業であれば、最初は簡単な部品の組み立てから始めて、徐々に複雑な作業にチャレンジしていく。サービス業であれば、まずは内部向けの業務から始めて、慣れてきたらお客様との直接のやり取りを経験していく。

 

このような段階的なアプローチが重要です。個別性を重視した役割分担「みんな同じ作業をする」のではなく、一人ひとりの特性や興味、能力に応じた役割を見つけることが大切です。

 

人との関わりが得意な方には接客や営業のサポート、集中力が高い方には品質管理や検査業務、創造性豊かな方には商品開発や改善提案といったように、その人らしさを活かせる場面をつくることです。

 

チームワークを育む協働作業

一人で黙々と作業するのも大切ですが、仲間と協力して一つのものを作り上げる喜びも重要な体験です。お互いの得意分野を活かし合い、助け合いながら目標を達成する経験は、職場での人間関係スキルの向上にもつながります。

雇用関係における心理的配慮

A型事業所の大きな特徴は「雇用契約」を結ぶことです。これは法的な意味だけでなく、心理的にも大きな意味を持ちます。多くの利用者の方々にとって「雇用される」ということは、社会に認められた証であり、自尊心の回復につながる重要な体験なのです。

 

最低賃金保障の心理的効果

金額の大小ではなく「対価を得て働く」という経験そのものが、利用者の方々の自己価値感を高めます。「自分の働きには価値がある」「社会に貢献できている」という実感は、何にも代えがたい心の支えとなります。

 

ただし、減額特例許可制度を利用する場合には、本人の自尊心を傷つけないよう十分な配慮が必要です。「能力が劣っているから減額される」ではなく、「今の段階に応じた適切な評価」として伝え、将来的な向上への道筋も示すことが大切です。

 

労働時間の柔軟な設定

体調の波がある方、集中力の持続時間に個人差がある方など、一人ひとりの特性に応じた働き方を認めることが重要です。「みんなと同じでなければならない」という固定観念を捨て、その人にとって最適な働き方を一緒に見つけていく姿勢が求められます。

 

評価制度における成長の可視化

単純な能力評価だけでなく、努力の過程や成長の軌跡を大切にする評価制度が効果的です。「前月と比べてここが向上した」「この部分での頑張りが認められる」といった具体的で前向きなフィードバックが、継続的な意欲向上につながります。

一般就労移行への心理的準備

 

A型事業所の最終的な目標の一つは、利用者の方々の一般就労移行です。しかし、これは単なる技術的なスキルアップだけで達成できるものではありません。「一般企業で働く」ということへの心理的な準備が何より重要です。

 

自信の回復と自己理解の深化

まず必要なのは、自分自身への信頼を取り戻すことです。「自分にも価値がある」「努力すれば成果が出る」「困った時には助けを求めても良い」といった基本的な自己信頼感を育てることから始まります。

 

同時に、自分の特性や能力、興味関心について客観的に理解を深めることも大切です。「自分はどんな環境で能力を発揮しやすいのか」「どんな配慮があれば力を発揮できるのか」を知ることで、適切な職場選択や合理的配慮の要請ができるようになります。

 

対人関係スキルの実践的向上

職場での成功は技術的なスキルだけでなく、人間関係スキルに大きく左右されます。報告・連絡・相談の仕方、困った時の助けの求め方、同僚との適切な距離感の保ち方など、実際の職場を想定した練習が効果的です。

 

ストレス管理と自己対処法の習得

一般企業は、A型事業所よりもストレスフルな環境になることが予想されます。そうした中でも自分なりのストレス対処法を身につけ、心の健康を保てるようになることが重要です。

事業者の皆様へ

−継続可能な運営のために−

 

A型事業所の運営は、理想だけでは続けられません。適切な収支管理と効率的な運営により、持続可能な事業基盤を築くことが、結果的に利用者の方々により良いサービスを提供し続けることにつながります。

 

収支構造の理解と改善

A型事業所の収入は障害福祉サービス報酬と生産活動収入の二本柱です。特に生産活動収入の向上は事業の持続性に直結します。しかし、利益追求だけに走るのではなく、利用者の成長と事業の発展が両立する仕組みづくりが重要です。

 

職員のメンタルヘルス管理

利用者の支援に携わる職員の皆様も、時には大きなストレスを感じることがあります。燃え尽き症候群の予防、適切な休息の確保、同僚同士の支え合いなど、職員の心の健康管理も事業所運営の重要な要素です。

 

地域との信頼関係構築

事業所は地域社会の一員として、近隣住民や関係機関との良好な関係を築くことが大切です。地域の理解と協力があってこそ、利用者の方々も安心して地域で生活し、働くことができるのです。

まとめ

 

本当の意味での「共生社会」を目指してA型事業所の設立・運営は、単なるビジネスではありません。一人ひとりの可能性を信じ、その人らしい働き方と生き方を支援する、とても意味深い取り組みです。

 

私たち「行政書士さくら法務オフィス」は、臨床心理士と行政書士のダブルライセンスを活かし、制度的な側面と心理的な側面の両方から、皆様の事業所づくりを支援いたします。利用者の方々が「ここで働けて良かった」と感じられる事業所、職員の皆様が「この仕事にやりがいを感じる」と思える職場、そして地域社会から「あの事業所があって良かった」と評価される存在。そんな事業所づくりを、一緒に目指していきませんか。

 

ご相談は無料です。まずはお気軽にお話をお聞かせください。制度のことから運営の悩みまで、心理と法務の専門家として、皆様に寄り添った支援をご提供いたします。

就労継続支援A型事業所に関するよくある質問

 

設立・開業に関する質問

Q1: 就労継続支援A型事業所とB型事業所の違いは何ですか?

A: A型は利用者と雇用契約を結び最低賃金を保証する「雇用型」、B型は雇用契約を結ばず工賃を支払う「非雇用型」です。A型の定員は10名以上、B型は20名以上、年齢制限もA型は65歳未満、B型は制限なしと異なります。

Q2: A型事業所を開設するために必要な法人格は何ですか?

A: 株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人、社会福祉法人などの法人格が必須です。個人事業主での開設はできません。定款には障害福祉サービス事業を行うことを明記する必要があります。

 

Q3: A型事業所の設立にはどのくらいの資金が必要ですか?

A: 初期費用として1,000~1,500万円程度が目安です。B型と比較して人件費(最低賃金保証)が高額になるため、より多くの運転資金が必要です。特に開業後3~4ヶ月分の賃金支払い資金の確保が重要です。

 

Q4: A型事業所の最低定員は何名ですか?

A: 最低定員は10名です。B型事業所の20名と比較して少ない人数で開設できますが、雇用契約に基づく安定した就労の場を提供する必要があります。

 

雇用・労働条件に関する質問

Q5: 利用者への賃金はどのように決めればよいですか?

A: 最低賃金法に基づく最低賃金以上の支払いが必要です。地域別最低賃金を下回ることはできません。時給制、日給制、月給制など様々な形態が可能ですが、労働時間に応じた適正な賃金支払いが求められます。

 

Q6: 利用者の労働時間に制限はありますか?

A: 労働基準法が適用されるため、原則として1日8時間、週40時間が上限です。ただし、障害特性を考慮した柔軟な勤務時間の設定が可能で、短時間勤務から段階的に時間を延ばすことも可能です。

 

Q7: 有給休暇の付与は必要ですか?

A: はい、労働基準法に基づく有給休暇の付与が必要です。6ヶ月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した利用者に対して有給休暇を付与する必要があります。

 

Q8: 雇用保険や社会保険の加入は必要ですか?

A: 法定要件を満たす利用者については、雇用保険、健康保険、厚生年金保険への加入が必要です。週20時間以上勤務する場合は雇用保険、常用労働者については社会保険への加入義務があります。

 

Q9: 利用者の解雇は可能ですか?

A: 労働基準法に基づく正当な理由がある場合に限り可能ですが、障害特性を理由とした解雇は不当解雇にあたる可能性があります。解雇回避努力を尽くし、適切な手続きを踏むことが重要です。

 

人員配置・資格に関する質問

Q10: A型事業所に必要な職員配置は何ですか?

A: 管理者(1名以上)、サービス管理責任者(利用者60人につき1名以上)、職業指導員(利用者10人につき1名以上)、生活支援員(利用者10人につき1名以上)の配置が必要です。

 

Q11: 職業指導員と生活支援員に必要な資格はありますか?

A: 特別な資格要件はありませんが、障害者の就労支援に関する知識と経験が求められます。社会福祉士、精神保健福祉士、職業指導員講習修了者などの有資格者の配置が望ましいです。

 

Q12: サービス管理責任者の要件は何ですか?

A: 障害者福祉分野での実務経験(3~8年、資格により異なる)と、相談支援従事者初任者研修、サービス管理責任者研修の修了が必要です。常勤での配置が必要です。

 

設備・施設に関する質問

Q13: A型事業所に必要な設備は何ですか?

A: 作業室(利用者1人当たり3.0㎡以上)、相談室、多目的室、洗面所・トイレ、事務室、作業に必要な設備・機械などが必要です。また、労働安全衛生法に基づく安全対策も求められます。

 

Q14: 作業室の広さはどのくらい必要ですか?

A: 利用者1人当たり3.0㎡以上が基準です。定員10名の場合、最低30㎡以上の作業室が必要になります。自治体によっては3.3㎡を基準とする場合もあります。

 

Q15: 労働安全衛生に関する設備で注意すべき点は?

A: 雇用関係があるため労働安全衛生法が適用されます。安全衛生管理体制の整備、安全衛生教育の実施、健康診断の実施、作業環境の安全確保などが必要です。

 

事業内容・生産活動に関する質問

Q16: どのような作業内容が適していますか?

A: 軽作業(部品組立、梱包作業)、清掃業務、食品加工、データ入力、介護補助業務、農作業など多様です。重要なのは利用者の障害特性に合わせた作業内容を選択し、段階的にスキルアップできる環境を整備することです。

 

Q17: 企業からの受注業務と自主製品販売のバランスは?

A: 安定した収入確保のため企業からの受注業務を中心とし、自主製品販売で付加価値を高めるバランスが理想的です。受注業務は安定性があり、自主製品は利用者の創造性や販売スキル向上につながります。

 

Q18: 生産活動での収益が赤字の場合はどうすればよいですか?

A: A型事業所では生産活動の収益が利用者の賃金を上回ることが基本です。赤字が続く場合は作業内容の見直し、効率化、新たな受注先開拓、自主製品の付加価値向上などの経営改善が必要です。

 

報酬・経営に関する質問

Q19: A型事業所の障害福祉サービス報酬はどのように算定されますか?

A: 基本報酬は利用者の出席日数に応じて日額で算定されます。人員配置や支援内容に応じて様々な加算も適用されます。ただし、生産活動収益が賃金総額を下回る場合は減算となる場合があります。

 

Q20: 経営を安定させるためのポイントは何ですか?

A: 安定した受注先の確保、生産性の向上、適正な人員配置、加算の活用、利用者の定着率向上が重要です。また、最低賃金の上昇に対応できる収益構造の構築も不可欠です。

 

Q21: 助成金の活用は可能ですか?

A: 特定求職者雇用開発助成金(障害者雇用)、キャリアアップ助成金、人材確保等支援助成金などの雇用関係助成金の活用が可能です。雇用契約があるA型事業所の特性を活かした助成金活用ができます。

 

利用者支援に関する質問

Q22: A型事業所の対象者はどのような方ですか?

A: 一般企業での就労が困難だが、雇用契約に基づく就労が可能な65歳未満の障害者です。就労移行支援事業を利用したが企業就労に結びつかなかった方、特別支援学校卒業者などが主な対象となります。

 

Q23: 一般就労への移行支援はどのように行いますか?

A: 個別支援計画に基づく段階的なスキル向上支援、ハローワークや就労移行支援事業所との連携、企業見学や実習の機会提供、就職活動支援などを行います。一般就労移行率の向上も重要な目標です。

 

Q24: 利用者の体調不良や欠勤が多い場合の対応は?

A: 障害特性や体調の変化を考慮した柔軟な勤務体制の検討、医療機関との連携、個別支援計画の見直し、必要に応じて労働時間の調整などを行います。解雇ではなく支援による改善を目指します。

 

法令遵守・指導対応に関する質問

Q25: A型事業所特有の実地指導で確認される項目は何ですか?

A: 雇用契約書の整備、賃金台帳の管理、労働時間の記録、社会保険の適用状況、労働安全衛生の実施状況、生産活動の収支状況、最低賃金の支払い状況などが重点的に確認されます。労働基準法の遵守状況も重要な確認項目です。

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