臨床心理士×行政書士のダブルライセンスが支える障害福祉サービス-13年の実務経験で、設立から運営まで心理・法務の両面からサポート
大阪市・堺市・大阪広域対応
行政書士さくら法務オフィス
計画相談支援とは
計画相談支援は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの中でも特に重要な「連携の要」となるサービスです。2012年の法改正で位置づけ が強化され、障害のある方々が適切な福祉サービスを利用するための「道しるべ」の役割を担っています。
相談支援専門員は単なるケアマネジメントを超えて、当事者のエンパワメントを促し、「その人らしい生活」の実現をサポートする重要な立場にあります。
計画相談支援の全体像
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基本相談支援: サービス等利用計画の作成に限らない障害のある方やご家族からの相談支援(報酬算定外の業務だが必須)
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サービス利用支援: アセスメント、サービス担当者会議開催、サービス等利用計画案と計画の作成
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継続サービス利用支援: モニタリング、サービス等利用計画の見直しや変更
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ネットワーキング: 地域の社会資源開発やネットワーク形成への貢献
専門的視点から見た設立・運営のポイント
指定申請の実務と審査のポイント
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自治体による運用の違い: 都道府県・市町村によって運用解釈が異なるケースがあり、事前相談は必須
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指定重複制限: 同一法人の計画相談と特定相談の両指定は基本的に認められない(例外あり)
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サービス担当者会議の開催記録: 実地指導で最も指摘の多い項目のひとつ
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標準項目のカスタマイズ化: 地域性や利用者特性を考慮したアセスメントシートの作成(市販のものだけに依存しない)
計画相談支援事業所の指定申請は、自治体との事前相談から始めることで、スムーズな手続きが可能になります。当事務所では申請前の相談から指定後のフォローまで一貫してサポートしています。
実務で差がつく人員配置のポイント
相談支援専門員の質的確保
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障害特性の理解(発達障害・精神障害・知的障害など専門分野の構築)
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医療・教育・就労等の幅広い知識
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コミュニケーション技術の習得(基本的傾聴スキル、動機づけ面接法等)
相談支援専門員の解釈基準
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常勤換算方法(週32時間以上勤務を1.0人として計算)
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専従要件の例外(基準該当や小規模事業所の特例)
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資格要件の詳細(相談支援従事者研修修了に加え、社会福祉士等の国家資格保有者が優位)
ケース管理システムの選定
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クラウド型システムの活用(Welby、相談支援ねっと等)
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地域システムとの連携可能性
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セキュリティ対策(個人情報保護法2022年改正対応)
財務基盤の安定化
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請求業務の確実な実施(毎月の国保連請求、実績記録票の適切な管理)
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基本相談支援(無報酬)と計画相談支援(有報酬)のバランス
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特定事業所加算取得に向けた体制整備
報酬体系と経営戦略
基本報酬体系:
計画相談支援の基本報酬は、サービス利用支援(計画作成時)と継続サービス利用支援(モニタリング時)に分かれています。対面によるアセスメントやモニタリングを実施した場合は高い報酬(Ⅰ)、対面でない場合は低い報酬(Ⅱ)となります。具体的には、サービス利用支援(Ⅰ)は1,461単位、サービス利用支援(Ⅱ)は731単位、継続サービス利用支援(Ⅰ)は1,211単位、継続サービス利用支援(Ⅱ)は606単位となっています。
主な加算:
特定事業所加算は人員体制に応じて4段階あり、Ⅰは40%加算(常勤専従の相談支援専門員3名以上配置等)、Ⅱは30%加算(常勤専従の相談支援専門員2名以上配置等)、Ⅲは20%加算(常勤専従の相談支援専門員1名配置等)、Ⅳは10%加算(特定要件を満たす場合)となっています。
その他、初回加算(300単位)、入院時情報連携加算(200単位/100単位)、退院・退所加算(200単位)、医療・保育・教育機関等連携加算(100単位)、地域生活支援拠点等相談強化加算(700単位)などがあります。
経営戦略と収支モデル
事業規模と収支シミュレーション:
小規模事業所(相談支援専門員1名、利用者数30名程度)の場合、月間収入は約50〜60万円、年間で約600〜720万円が目安となります。
中規模事業所(相談支援専門員3名、利用者数90名程度、特定事業所加算Ⅱ取得)の場合、月間収入は約170〜190万円、年間で約2,000〜2,300万円が目安となります。
経営安定化のポイント:
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障害児相談支援との併設(毎月のモニタリング算定による収入安定化)
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複数の相談支援専門員配置による特定事業所加算取得
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自立支援協議会等の地域活動への参画による連携強化
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専門性の高い分野(医療的ケア児、精神障害、強度行動障害等)への特化
当事務所では、計画相談支援事業所の収支シミュレーションや経営戦略の策定をサポートしています。安定した経営基盤の構築にぜひご相談ください。
実務における挑戦と解決策
実務上の課題と専門的対応
難渋するケースの対応
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複合的な課題を抱える世帯(8050問題、ダブルケア等)
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支援拒否や多問題家族へのアプローチ(インリーチ型支援の技法)
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緊急時・クライシス対応(BCP策定の重要性)
行政・多機関連携の実際
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自立支援協議会の活用法(専門部会への参画等)
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支援調整会議の効果的な活用
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司法・医療・教育機関との連携構築
ICTツールの活用
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オンラインでのモニタリング手法(COVID-19以降の制度変更)
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情報共有プラットフォームの活用
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デジタル記録と情報セキュリティの両立
実地指導対策と質の向上
実地指導でよくある指摘事項
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サービス等利用計画の根拠が不明確(課題分析不足)
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モニタリング記録の不備(形骸化した記録)
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サービス担当者会議の記録不足
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個人情報の取扱いに関する書類不備
自己点検の仕組み
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記録様式の標準化と定期チェック体制
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第三者評価の活用(外部視点の導入)
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スーパービジョン体制の構築(経験の浅い相談支援専門員への支援)
臨床心理士×行政書士による専門的サポート
13年の実務経験を活かした独自アプローチ
心理面接技術の活用
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信頼関係構築のための技法伝授(ラポール形成)
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ナラティブアプローチの活用
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障害受容プロセスに応じた対応法
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家族システム理論に基づく家族支援
法的視点からの権利擁護
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成年後見制度の活用と連携
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虐待対応と法的根拠
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差別解消法・合理的配慮の具体的実践
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障害者総合支援法制度解釈の最新動向
地域づくりへの貢献
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社会資源開発の手法(地域診断からの展開)
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事業者間連携の促進(ネットワーキング)
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当事者参画型の地域づくり
臨床心理士と行政書士のダブルライセンスだからこそできる、「心理的視点」と「法的視点」を融合させた専門的なサポートをご提供します。
開設から運営までの実践的ステップ
1. 準備段階(3〜6ヶ月)
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地域ニーズの把握と事業計画策定
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法人設立または既存法人の定款変更
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相談支援専門員の確保・養成
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運営規程、重要事項説明書等の作成
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記録様式・アセスメントツールの準備
2. 指定申請(2〜3ヶ月)
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自治体との事前協議
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申請書類の作成・提出
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設備等の準備と現地確認対応
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運営規程・重要事項説明書等の最終調整
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関係機関への周知・広報活動開始
3. 事業開始(初期3ヶ月)
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初期利用者の受入れと丁寧なアセスメント
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関係機関との顔合わせ・連携構築
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記録システムの運用開始
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モニタリング計画の策定
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相談支援専門員の継続的な研修
4. 安定運営期(6ヶ月〜)
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サービスの質向上(PDCAサイクルの確立)
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特定事業所加算取得への取組み
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地域課題の集積と地域づくりへの参画
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人材育成・スーパービジョン体制の構築
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経営指標の分析と長期計画の策定
よくあるご質問
設立・開業に関する質問
Q1: 他の障害福祉サービス事業を運営していますが、計画相談支援事業も併せて行えますか?
A: 可能です。ただし、公平・中立なサービス等利用計画の作成が求められるため、特定の事業所に偏ったサービス等利用計画にならないよう注意が必要です。運営する他事業所のサービスばかりを計画に盛り込むことは適切ではありません。
Q2: 相談支援専門員になるための要件は何ですか?
A: 相談支援従事者初任者研修の修了と、障害者福祉分野での実務経験(3~10年、職種により異なる)が必要です。社会福祉士、精神保健福祉士等の国家資格保有者は実務経験年数が短縮されます。詳細な要件については、各都道府県の研修実施要綱をご確認ください。
Q3: 計画相談支援事業所の指定更新はいつ必要ですか?
A: 6年ごとに更新が必要です。更新手続きを行わないと指定の効力を失い、事業継続ができなくなります。更新申請は指定有効期間満了日の約2ヶ月前から準備を始めることをお勧めします。
運営・報酬に関する質問
Q4: 特定事業所加算を取得するメリットは何ですか?
A: 特定事業所加算は最大40%の加算となり、収入の大幅な向上が期待できます。また、人員体制の充実により、より質の高いサービス提供が可能になり、地域での信頼度も向上します。ただし、常勤専従の相談支援専門員の複数配置等の要件があります。
Q5: サービス利用支援とモニタリングの違いは何ですか?
A: サービス利用支援は初回のサービス等利用計画作成時に行う支援で、継続サービス利用支援(モニタリング)は定期的な計画の見直しや評価を行う支援です。報酬単価も異なり、対面で実施するかどうかでも単価が変わります。
Q6: 対面でのアセスメントやモニタリングが困難な場合はどうすればよいですか?
A: やむを得ない場合は電話や書面での実施も認められますが、報酬単価は低くなります(Ⅱ区分)。ただし、可能な限り対面での実施が推奨されており、質の高いサービス提供のためにも直接お会いすることが重要です。
実務・管理に関する質問
Q7: サービス担当者会議の開催が困難な場合はどうすればよいですか?
A: 関係者のスケジュール調整が困難な場合は、書面での照会や個別の意見聴取も可能です。ただし、実地指導では開催記録が重視されるため、可能な限り会議形式での開催を心がけ、適切な記録を残すことが重要です。
Q8: 1人の相談支援専門員で何人まで担当できますか?
A: 法的な上限はありませんが、質の高いサービス提供を考慮すると、1人当たり30~40名程度が適正と考えられます。利用者の障害程度や支援の複雑さによっても変わるため、事業所の体制に応じて適切な人数を設定することが大切です。
Q9: 記録の保存期間はどのくらいですか?
A: サービス等利用計画やモニタリング記録などの主要な記録は、サービス提供終了後5年間の保存が義務付けられています。個人情報保護の観点から、適切な管理体制を整備することも重要です。
地域連携・専門性に関する質問
Q10: 自立支援協議会にはどのように参画すればよいですか?
A: 市町村の自立支援協議会や専門部会への積極的な参加を通じて、地域課題の把握や解決に貢献できます。事業所からの地域課題の提起や、社会資源開発への協力も計画相談支援事業所の重要な役割です。
Q11: 医療的ケアが必要な利用者への対応で注意すべき点はありますか?
A: 医療機関との密接な連携が不可欠です。医療・保育・教育機関等連携加算(100単位)の算定も可能ですが、何より利用者の安全確保と適切な支援体制の構築が最優先です。必要に応じて医療ソーシャルワーカーとの連携も重要です。
Q12: 強度行動障害のある方への計画作成で留意すべき点は?
A: 行動障害の背景にある要因の詳細な分析と、環境調整を中心とした支援計画の作成が重要です。強度行動障害支援者養成研修を修了した職員の配置されている事業所との連携や、医療機関との連携も欠かせません。
緊急時・危機管理に関する質問
Q13: 利用者の緊急事態が発生した場合の対応手順は?
A: BCP(事業継続計画)に基づいた対応が重要です。まず利用者の安全確保、関係機関への連絡、家族への報告を迅速に行います。事後には詳細な記録作成と、再発防止策の検討・実施が必要です。
Q14: COVID-19などの感染症流行時の対応で変更された点はありますか?
A: オンラインでのモニタリングが一定の条件下で認められるようになりました。ただし、可能な限り対面での実施が推奨されており、感染防止対策を講じた上での面談実施が基本となります。
Q15: 虐待が疑われる事案を発見した場合の対応は?
A: 速やかに市町村の虐待防止センターや都道府県に通報する義務があります。利用者の安全確保を最優先とし、関係機関と連携して適切な保護措置を講じる必要があります。通報は相談支援専門員の重要な責務です。
障害児相談支援・制度運用に関する質問
Q16: 障害児相談支援と計画相談支援の違いは何ですか?
A: 障害児相談支援は18歳未満の障害児を対象とし、障害児支援利用計画を作成します。計画相談支援は18歳以上の障害者が対象です。障害児相談支援では毎月のモニタリングが基本となり、より頻繁な支援が求められます。両方の指定を受けることで、18歳の移行期も継続的に支援できます。
Q17: セルフプランから計画相談支援への移行を希望される場合の対応は?
A: まず現在のセルフプランの内容を詳しく確認し、利用者やご家族のニーズを丁寧にアセスメントします。セルフプランで困っている点や改善したい点を把握し、専門的な視点から新たなサービス等利用計画を作成します。移行時期は利用者の都合に合わせて調整可能です。
Q18: 計画相談支援の契約を途中で解除したいと言われた場合は?
A: 利用者には事業所選択の自由があるため、解除の申し出は受け入れる必要があります。ただし、解除理由を確認し、改善可能な点があれば対応策を提案します。解除時には他の相談支援事業所への適切な引き継ぎを行い、利用者の不利益にならないよう配慮します。
人材育成・専門性向上に関する質問
Q19: 新人の相談支援専門員への指導で重要なポイントは?
A: スーパービジョン体制の構築が重要です。定期的な事例検討会の実施、先輩職員との同行訪問、記録の添削指導などを通じて段階的にスキルアップを図ります。特に傾聴技術、アセスメント力、多機関連携のノウハウの習得に重点を置いた指導が効果的です。
Q20: 相談支援専門員の継続的な研修はどのように確保すればよいですか?
A: 都道府県が実施する現任研修(5年ごと)の受講は必須です。それに加えて、障害特性別の専門研修、権利擁護研修、危機介入技法研修などの受講を推奨します。事業所内での事例検討会や外部講師を招いた勉強会の開催も有効です。
ICT・業務効率化に関する質問
Q21: 相談支援記録のICT化で注意すべき点は?
A: 個人情報保護が最重要です。クラウドサービスを利用する場合は、セキュリティ対策が十分なサービスを選択し、アクセス権限の適切な管理を行います。また、停電やシステム障害時のバックアップ体制も整備する必要があります。利用者同意の取得も忘れずに行いましょう。
Q22: オンラインでのサービス担当者会議は有効ですか?
A: 参加者全員の同意があれば有効です。特に遠方の関係者がいる場合や、感染症対策として有用です。ただし、通信環境の確認、参加者の本人確認、会議録の適切な作成・共有が必要です。可能であれば対面とオンラインのハイブリッド開催も検討できます。
経営・収支管理に関する質問
Q23: 計画相談支援事業の収支が安定しない場合の対策は?
A: 特定事業所加算の取得、障害児相談支援との併設、利用者数の適正管理が重要です。また、基本相談支援(無報酬)の時間を効率化し、報酬算定できる業務に集中することも必要です。地域のニーズ分析を行い、他事業所との差別化を図ることも効果的です。
Q24: 利用者からの相談支援料の請求でトラブルが発生した場合は?
A: 計画相談支援は利用者負担がないサービスです(全額公費負担)。もし利用者から料金を請求されたという苦情があれば、契約内容を再確認し、適切に説明します。万一、誤って請求していた場合は速やかに返金し、再発防止策を講じる必要があります。
法令遵守・監査対応に関する質問
Q25: 運営推進会議の設置は必要ですか?
A: 計画相談支援事業所では運営推進会議の設置義務はありません。ただし、事業の透明性確保や地域との連携強化の観点から、任意で設置する事業所もあります。設置する場合は、利用者・家族代表、地域住民代表、行政職員などで構成し、定期的に事業報告や意見交換を行います。